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足払いについて考察してみた。

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こんにちは。

日本拳法の足払いについて考察してみたいと思います。

日本拳法における足払いは競技の特性上非常に重宝される技のうちの1つになります。

理由は相手を倒した後に一本を取りやすく、体力の消耗を極端に抑えながら相手を倒す事が出来るので、比較的楽に1本を取る事ができるからだと思います。

体力の消耗を抑えながら且つ一本を取りやすいという事なので、是非とも極めたい技であるかと思います(キレイに決まると気持ち良いですし…)

 

 

ところが。。。

 

足払いはとにかく難しい…

 

相手の出足を払うだけという、聞くといたってシンプルな技ではありますが、中々決まりません。

足を払うタイミングや力の向き、掛け方が少しでもずれてしまうとまったくかからなくなってしまうので難易度の高い技であると言えます。

無理に狙って力任せで相手の足を横から払おうとすると自分も相手も傷める事になり、審判にも注意されてしまいます。

力ではなく、技術。
シンプルな技だからこそ、繊細な技術が必要で、その中でタイミングが重要になってくるんじゃないかなと思っております。

 

前置きが長くなってしまいましたが、日本拳法における足払いについてこれから少し考察していきたいと思います。




まずは足払いの「タイミング」について、お話をしていきたいと思います。

足払いで相手を転がす「タイミング」は大きくわけて2つあります。

 

●相手の前足が地面から「浮いた」瞬間を狙う

●相手の前足が地面に「着く」瞬間を狙う

 

この2つのタイミングで、相手の前足を横から払う事で相手を転がす事ができると考えております。

前足が地面に「着く」瞬間を狙う足払いに関しては、組技の状態からになるかと思いますので、どちらかというと柔道技に近い足払いになるかと思います。

前足が地面から「浮いた」瞬間を狙う足払いは、打撃の間合いから実践できる足払いになるかと思いますので、今回はその前足が地面から「浮いた」瞬間を狙う足払いついて考察していきたいと思います。

 

動画を3つあげますのでそれぞれ解説していきたいと思います。

 

-Case1-浮いた瞬間の前足を「外側」から狙う

右対右のケースです。
相手の前足が地面から「浮いた瞬間」を狙っております。

前足を浮かせるために、相手のバックステップを誘う為の右ストレートを放っております。
(この右ストレートは当てるつもりのない右ストレートで、前段階で与えていたプレッシャー(動画にはありません…)と目隠し的な右ストレートをオーバーに放つことで相手のバックステップを誘っております)

そしてバックステップで相手が下がる事を想定し、前足が地面から離れた瞬間を狙って足払いを行っております(相手の前足が離れた「瞬間」を狙っておりますので、右ストレートとほぼ同時に足払いを行っております)

また、足払いは相手の足幅が狭くなればなるほど決まりやすくなります。

相手選手の構えを見て頂きたいのですが、比較的に足が伸びた状態(両足が揃い気味)になっています。

すなわち足払いが決まりやすいという事が構えの状態からある程度推測出来ます。

また、足を払う方向ですが、相手の前足を後ろ足の方向に近付けるようにして足を払う事で転がりやすくなります。
真横に払う事で相手を転がす事も可能ですが、イメージとしてなるべく相手の後ろ足の方向に払う様に行ってみて下さい。両足が揃う方向に足を払うと、バランスが非常に取りにくくなるので、転がる可能性が非常に高くなります。

足払いで転がす事が出来ず、バランスを崩す程度にしか決まらない場合は、この辺を意識して練習を行ってみるとうまくいくケースもありますので是非とも意識して行ってみてください。

 

足払いのポイント-Case1-
1.相手の前足が地面から「浮いた瞬間」を狙う

2.相手の前足を地面から浮かせる為、相手のバックステップを誘う攻撃をする(今回は当てるつもりのない右ストレート。面の顎先を狙うストレートやアッパーでも可能かと思います)

3.相手の前足を払う方向は、なるべく相手の後ろ足に寄せる方向に意識して行う

 

-Case2-浮いた瞬間の前足を「内側」から狙う

これも同じく右対右のケースです。
こちらのケースでは、相手の前足の内側から払っているパターンになります。

これは相手のバランスを崩す際に多用される足払いですが、相手を転がす事も十分可能な技になっております。

これも先ほどと同じく相手の前足が地面から「浮いた」瞬間を狙っております(動画では非常にわかりにくいですが、スローでみると僅かながら確認できるかと思います)。

相手が右ストレートを打つ際に前足を踏み込んで右ストレートを行っておりますが、右ストレートを打ち終わった後に相手の前足の重心が離れた瞬間を狙っております。

今回のケースは前回と同様、前足が地面から浮く瞬間を狙う事が大切ですが、「足の掛ける方向」と「手の使い方」も重要になっております。

 

1つずつ解説していきたいと思います。





「足の掛ける方向」ですが、

相手の前足を自分の方向(外側でない方向)に払わなければいけません。

足を外側に払うと、相手の体勢を崩す事は出来ますが、転がす事がなかなか難しくなってしまうからです。

また足の掛け方のイメージですが、相手の前足を引っ掛けて、自分に引き寄せるイメージで掛ける必要があります(この点が相手を転がすのに重要ですので、この点をイメージして行って頂きたいと思います。)

 

次に「手の使い方」になります。

手の使い方は、足を掛けるのと同時に相手の面を左手で押してみてください。
(相手の顎が上がるように左手を使えばよく、かつ方向は後ろ(左後ろ)で良いかと思います)

自分の前足で相手の足を手前に引き寄せ、自分の手で相手の面を左後ろ(相手の顎があがるよう)に押さえると相手はバランスを取る事ができず、転がってしまいます。
(相手の足と面を対角線上に引き延ばすようなイメージで行うと良いかと思います)

 

相手の右ストレートをしっかりと防御し、相手の距離が縮まった時に、相手の前足を浮いた瞬間を狙い、相手の足を払う方向と反対の方向(対角線)に面を左手で押し当ててみると、このようなケースでも相手を転がす事が可能になってくるかと思います。

この方法は色々忙しいですが、相手のバランスを崩すだけでなく、相手を転がす事も十分可能な方法になりますので、是非とも意識して練習してみて下さい。

 

足払いのポイント-Case2-

1.足払いの距離になるよう相手の攻撃(右ストレート)をしっかりと手で防ぐ

2.相手の踏み込んだ前足の重心が離れたタイミングで相手の前足の内側から自分の方向に引っかけるイメージで足を払う

3.自分に寄せた相手の足とは対角線上に相手の面を左後ろ方向に押し込む(相手の顎が上がるイメージ)

4.相手が転がる、もしくはバランスが崩れた瞬間を見逃さずに一本を決める。




 

-Case3-浮いた瞬間の前足を狙う(右対左)-

次は右対のケースです。

これは相手の攻撃を避けて組みを狙ったところに、足払いをかけられてしましました笑
これは先ほどと同じく前足が浮いたところを狙われてしまいましたが、前回と違う点は右対のケースです。

右対のケースで足払いを狙う場合には、足を深く払う事が出来ないので、相手のバランスを崩す事が出来ても相手を転がす事が難しくなってしまいます。

それを踏まえて相手選手は深く相手に入り込む為にスイッチを行っています。また足の払う方向に関してですが、自分の方向に対して足を引っ張るイメージで足を払っております。

そしてこの際に重要なのは、先ほどと同様足を払うだけでなく、しっかりと「手」を活用しているという事です。
これも同じく、手で面を押さえる方向は、相手の足の払う方向と対角線上(すなわち前方向)になります。

相手のカウンターに備えて防御を行いながら、スイッチを行って相手との距離を縮めて、相手の前足を自分の方向に寄せるように足を払い、且つ足払いの方向と対角線上にしっかりと面を押さえて相手を転がしておりますね。

 

ポイント-Case3-

 

1.右対での足払いは物理的に足払いで相手を転がす事が難しいので、右対右にスイッチを行い、相手との距離を縮める

2.スイッチを行い、相手が下がらない事を想定し、できる限り相手に接近し、相手の前足を自分の方向に払う

3.相手の前足を払いに行くと同時に、しっかりと相手の面を足払いの方向と対角線上に手で押さえるようにする

 

様々なパターンで足払いがありますが、今回は3つのケースで考察(解説)をさせて頂きました。

足払いは様々なパターンにより、足だけに注意がいきがちですが、全体の流れや、手を使うことが
日本拳法での足払いには非常に重要になってきます。

足払いは空手でもあり、柔道でも足払いがあるので、本当に様々なケースで行われておりますし、日本拳法では特に重要な技になりますので、是非とも参考に練習して頂き、身に付けて頂ければと思います。

 

youtubeの動画で日本拳法の足払いのシーンを集めた動画がありますので、こちらも掲載させて頂きます。





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